開発ストーリー

Speed Editスピードエディット(施設構造点検報告書作成システム)

点検結果・撮影写真を端末に即時反映し、報告書作成時間を大幅削減

開発期間:2016年(平成28年)~2020年(令和2年)

点検の報告書作成を自動化し、作成時間を1/10に削減

スピード エディットとは道路設備の点検報告書を自動で作成できるシステムです。トンネル内の照明、高速道路の監視カメラ、インターチェンジ入口の道路情報板などが点検の対象になります。点検は、スピード エディットのシステムをインストールしたタブレットとデジタルカメラを使用します。
設備によって異なりますが、トンネル内の照明の場合は1灯あたり8枚以上の写真を撮影します。
デジタルカメラで撮影した写真データはタブレットに転送され、自動的に該当する設備のフォルダに振り分けられ保存されます。
また、撮影と同時にその設備の判定をOK・C・B・A・AAの5段階で入力します。
判定後は報告書が自動作成されるため、改めて写真の整理やExcelなどの様式に判定を入力する必要はありません。事務所に戻り、タブレットに保存されているデータを専用のサーバーにアップロードすれば、誰でも必要な報告書を選び、出力することが可能です。
開発前は手作業で報告書を作成しており、1枚あたり約10分の作成時間を要していました。スピード エディットを活用すると作成時間は約1分と、10分の1に削減できます。四国管内で作成する報告書は年間5,000枚に上るため、大幅な時間の削減につながりました。
報告書を一括して出力できる機能もあり、期待以上の効果が見られます。

開発に至った経緯

現場主導型でスタートした開発

スピード エディットは、現場担当者から点検報告書の作成を効率化したいとの要望からスタートし、現場主導型で開発を行いました。
以前の点検は、前年度の点検表を印刷して現場に持っていき、点検しながら判定を記入していました。また、設備数が多いため、撮影した写真と設備が紐づくよう工夫して撮影する必要がありました。
点検後は事務所に戻り、パソコンに写真を取り込みます。トンネル内の照明であればトンネル名のフォルダ、さらに設備名のフォルダを作成し、管理番号毎に写真を振り分けて保存するという手間の掛かる作業でした。さらに整理した写真をExcelの報告書様式に1枚ずつ貼り付けて、点検表に手書きした判定を1つずつ入力していました。
日中は現場で点検を行っているため、報告書の作成は時間外で対応せざるを得えないことも課題でした。現場担当者の負担を軽減したいと、開発に踏み切りました。

開発の工夫や苦労

使いやすさを徹底的に追求

現場担当者が使いやすいようにシンプルな画面構成と最低限の操作回数で行えるように工夫しました。
入力画面はExcelのような画面になっており、セルをタップし、右メニューから5段階の判定結果を選ぶ方法で容易に入力ができます。単独セルの入力、複数セルを選択しての複数入力、範囲を選択しての一括入力もできるなど、利便性を高めています。このような入力方法には、セルをタップすると入力候補が下に表示されるプルダウン形式が多いのですが、多くのセルに入力するのには手間がかかり、かつ押し間違いも発生しやすいという問題がありました。試作段階で、現場担当者に試用してもらい、使いやすい方法を採用しました。
また、点検では所見をメモすることがあります。使用頻度の高い項目は定型文として用意しておき、入力の効率化を図っています。
四国管内で管理する設備はおよそ10万件です。システム開発では10万件のデータベースを作成し、現場担当者に確認してもらうといった作業も苦労しました。

今後の展望

これからも現場に喜ばれる開発を続けたい

スピード エディットは3カ年計画で開発を行い、2019年の1年間の試用期間を経て2020年に完成しました。開発は一旦完了しましたが、現場から意見があれば改善をしていきたいと考えています。また、スピードエディットは各設備の点検報告書作成を目的に開発を行いましたが、改良することでその他現場での写真整理ツールとしての活用が期待できます。

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